【セルフチェック】月経過多と更年期!トラブルになる原因とその治療法

月経過多は女性特有の悩みです。女性の月経にまつわるトラブルや体調不良は心や体に影響を及ぼします。トラブルの理由はさまざまあり、人によって原因も症状も異なります。今回取り上げる月経過多ですが、器質的なことが関係していない場合ホルモンバランスの乱れから生理不順となり月経過多になることがあります。特に若い女性や更年期の人に多く見られます。月経過多になると、経血量が増えて貧血を併発しやすくなり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。また同時に生理痛が酷い場合、子宮に関わる病気の可能性もあります。月経過多とはどんな症状なのでしょうか。経血量の目安や原因、またその治療法についてご紹介します。

 

月経過多とは?(排卵と月経のしくみ)

月経過多の話を始める前に、月経や排卵のことなど女性の生理現象について触れておきます。

 

・排卵について

女性の体は思春期を迎えると脳の下垂体から2種類の性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン)が分泌され、その働きによって卵巣内壁にある卵胞から卵子が卵巣外へ放出されます。これを排卵と言います。

放出された卵子は卵管采から卵管に入り子宮に進みます。排卵の途中で精子と出会った場合は受精卵となって子宮内膜に着床しますが、受精しなかった場合は子宮を通り抜けて体外へ排出されます。

排卵は約28日周期で卵巣から卵子を放出します。受精しなかった卵子は子宮内膜と一緒に体外へ排出され、月経が起こります。

 

・女性ホルモンと月経のしくみ

女性ホルモンとは卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のことを言います。

排卵前、卵胞(卵子が中に入っている)はエストロゲンを分泌し、排卵後はプロゲステロンを分泌し始めます。

子宮の内側を覆っている子宮内膜はエストロゲンとプロゲステロンの刺激を受けて厚みを増し、受精した場合には着床しやすいように準備を整えます。

受精しなかった場合、子宮内膜は必要なくなるためはがれ落ち、受精しなかった卵子や血液とともに体外へ排出されます。これを月経と言います。月経は平均5日間、約28日周期で繰り返されます。

 

 

月経過多の原因と症状

月経の経血量には個人差がありますが、大量の出血があり、ふだんの日常生活に支障をきたす場合を月経過多と言います。原因は主にホルモン分泌の異常と子宮などの病気が上げられます。また、月経過多になると出血量が多くなるため鉄欠乏性貧血を引き起こします。めまいや立ちくらみ、疲れやすくなるので注意しましょう。

 

・経血量は個人差がある

初潮を迎えた女性は閉経するまで毎月、月経が繰り返されます。月経周期は約28日、期間は平均5日、経血(出血)量は20m~140mLが正常とされています。出血量は個人差がありますが、20mL以下を過小月経、140mL以上を過多月経と言います。

生理の出血量が多いことを月経過多といます。一度に大量の出血があって経血にレバーのような塊が混じっていたり、月経期間が8日以上続きます。具体的に言うと、昼でも夜用のナプキンを使ったり、普通のナプキンでは1時間ももたない状態のことを言います。

 

 

・月経過多セルフチェック

□ 経血量が増えた。(140mL以上)

□ 生理の日数が伸びた。(8日以上)

□ 経血にレバーのような塊が混じっている。

□ 昼でも夜用のナプキンが必要。

□ 普通のナプキンでは1時間ももたない。

 

以上の質問が当てはまったら月経過多の恐れがあります。

 

月経過多の原因(1)ホルモンバランスの乱れ

ストレスやダイエット、肥満、甲状腺の異常、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、更年期障害などによってホルモンバランスが乱れると排卵がなくなり、子宮内膜のサイクルが狂って月経不順となり、月経過多となってしまうことがあります。

 

・若年層(18歳頃まで)

ホルモンバランスが未熟、無排卵周期など

 

・性成熟期(19~40歳頃まで)

ホルモンバランスの乱れ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)等による無排卵周期など

 

・更年期障害(40歳以上の女性で閉経するまで)

月経周期が不規則になり月経がなくなるまでの間を更年期といいます(40~55歳)。更年期になると女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に低下し、精神的、身体的にさまざまな症状があらわれます。主な症状として頭痛、不眠、冷え、のぼせなどがあり、月経過多も更年期の女性に多くみられます。

 

月経過多の原因(2)子宮の病気

子宮の病気の場合、以下のようなものが考えられます。

・子宮筋腫

・子宮腺筋症

・子宮内膜ポリープ

・子宮内膜増殖症(子宮体がん)

・子宮頸がん

 

 

月経過多の治療法

月経過多と疑われる場合、若い女性や更年期の女性はホルモンバランスの乱れが原因かも知れないので経過観察して様子を見てみましょう。ホルモン分泌異常以外にも子宮の病気が隠れているかも知れません。経血量が多かったり、生理痛が酷く日常生活に支障をきたしている人、子宮の病気が心配な人は必ず医師の診断を受け、必要に応じて治療することをおすすめします。

 

生理痛のしくみ

・機能性月経困難症

機能性月経困難症の場合、女性ホルモンが関与しています。特に黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されると子宮内膜に作用して痛みの原因になる物質(プロスタグランジン)が増えます。この物質は子宮を収縮させて腹痛、腰痛などの原因となります。

 

・器質性月経困難症

子宮筋腫や子宮内膜症などが原因の痛みは器質性月経困難症と言います。

 

→月経や月経痛の症状に合わせて鎮痛剤や漢方薬、ハーブ(サプリメント)、ホルモン補充療法、ピルなどが処方されます。

 

 

・薬物療法

◆低用量ピル(LEP):卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含む2つの配合剤

ピルといえば避妊目的と思う人が多いかも知れませんが、月経過多や月経困難症(生理痛)、月経前症候群(PMS)、子宮内膜症などの治療薬として使用されます。ピルを服用すると排卵が止まるため、月経過多や生理痛が酷く鎮痛剤が効かない人に最適です。

ピルの副作用:

ピルを飲み始めると、不正出血や吐き気、頭痛などが起こる場合があります。症状が酷い場合は早めに相談してください。

ピルの重大な副作用として血栓症リスクが挙げられます。

・足の痛み、腫れ

・麻痺した感覚

・激しい頭痛、嘔吐

・舌のもつれ

・視野狭窄

 

これらの症状が現れた場合、すぐに服用を中止して医師に相談してください。

また、乳がんの発生はエストロゲンが関係しているため、ピルを服用すると乳がんのリスクが高まります。

 

 

◆ホルモン補充療法

低用量ピルと同じ女性ホルモン剤ですがピルとは種類や量が異なり、40歳以上の更年期の女性に処方される薬です。上述したようにピルは血栓症リスクが高いため40歳以上の女性にピルの処方は難しいと言われています。

20~30代の女性の場合は低用量ピルが処方されます。

 

 

◆ミレーナ:子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS

子宮内に装着すると子宮内膜が薄くなり、プロスタグランジン(痛みや炎症の原因物質)の産生を減少させて生理痛や出血量を軽減します。

 

 

◆漢方薬

伝統的な東洋医学で「気・血・水」という概念があり、これらの異常で病気が引き起こされるという考え方です。

月経痛や月経不順、更年期障害などに対して漢方薬が処方されることがあります。

 

 

◆ハーブ(サプリメント)

婦人科系の疾患に対してハーブ(サプリメント)を勧められることがあります。ハーブは法律上医薬品ではなく食品として流通していますが、薬理作用を持つものが多くあるので購入して服用する際はきちんと販売員の方に相談してください。また、現在医師の治療を受けていて薬を服用している方は飲み合わせ等相談することをおすすめします。

 

 

・外科療法

手術(切除や摘出):月経過多の原因そのものを手術して進行を止めます

子宮内膜アブレーション:子宮内膜を焼いて経血量を減少させます

 

 

まとめ

月経過多の原因はさまざまですが子宮筋腫など器質的なものが原因でない場合、ホルモンバランスの乱れが月経過多を引き起こしています。特に若い女性や更年期の女性はホルモンバランスが崩れやすく、女性ホルモンの分泌異常による無排卵周期や黄体ホルモン機能不全が原因となっています。

しかし、ホルモンバランスの乱れによって月経過多が引き起こされているだけでなく、女性特有の子宮などの病気が原因で大量出血している場合があります。月経過多のセルフチェックをして、必要に応じて病院で診察・治療を受けましょう。

 

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