乾燥肌の原因は水分と保湿不足―乾燥から肌を守るおすすめスキンケア方法

私たちの肌は一年中外気に曝されています。特に冬の季節は湿度が低く外気が冷たいうえ、室内も暖房器具などが原因でさらに肌の乾燥が起こりやすくなります。肌が乾燥すると体内の水分が蒸発して保湿不足になります。すると肌を守っているバリア機能が低下してちょっとした外部からの刺激でも敏感になりトラブルを起こしてしまいます。肌が乾燥しやすい冬は、皮膚がかさかさして痒みや湿疹が出やすく乾燥肌の人にとっては辛い季節ですね。そのため、乾燥肌の人は痒みや湿疹が出ないように水分と保湿のケアを心がけて乾燥から肌を守ることが大切です。今回は乾燥肌の人におすすめのスキンケア方法をご紹介します。

 

なぜ肌が乾燥するの?

私たちの皮膚は大別すると表皮、真皮、皮下組織と呼ばれる3つの層から構成されています。肌の水分や潤いは、皮膚の表皮(一番外側)の最上層にあたる角質層がその働きを担っています。

皮膚の構造(表皮、真皮、皮下組織)

表皮: 皮膚の最も外側にある層で、活発な新陳代謝が行われている。
 
・角質層 タンパク質でできた板状の角質細胞の層。角質=垢
・淡明層 表皮の厚い部分にだけ見られる透明な層。
・顆粒層 紡錘形の細胞が並んだ層。紫外線を反射する働きがある。
・有棘層 表皮で最も厚い層。リンパ液が流れる。
・基底層 表皮の最下層。真皮と波形で接し、表皮細胞を作り出す。  
真皮: 繊維組織と弾性繊維でできた層で神経終末、皮脂腺、汗腺、血管などがある。

・乳頭層 真皮の上層。末梢血管と知覚神経が張り巡らされている。
・網状層 膠原線維(約90%)が占め、弾性線維が網状に交差し、その間をヒアルロン酸などの間質が満たしている。皮脂腺、汗腺、血管などがある。  
皮下組織: 皮膚の最も内側にある層で、暑さ、寒さ、衝撃などから体を保護する。

・皮下脂肪 結合線維と弾性線維から成り、脂肪細胞が多い。皮下組織は衝撃を和らげ、保湿、栄養貯蔵などの役割がある。  

 

表皮の最上層の角質層は角質細胞が重なってできた重層構造で構成され、厚さは0.02mm程度ですが外部からの刺激や異物(細菌やアレルゲン)の侵入を防いでいます。また、皮膚の表面には皮脂と汗が混ざり合って形成された弱酸性の薄い皮脂膜があり、水分の蒸発を防ぎ、外界の刺激から肌を守る役割のほか、抗菌・殺菌作用があります。

健康的な肌は、角質層の天然保湿因子(NMFによって水分が十分に保たれています。NMFは尿素、アミノ酸、乳酸塩などの水溶性成分で構成され、角質細胞内の水分量を保っています。

そのほかにも角質細胞間の隙間にセラミドなどの細胞間脂質があり、水分の蒸発や異物の侵入を防いでくれています。

乾燥肌とは、皮脂や天然保湿因子、細胞間脂質などの保湿機能が低下した状態のことです。角質層の水分が蒸発して水分量が減少すると肌が乾燥してバリア機能が低下し、異物の侵入や刺激に敏感になり、皮膚に痒みや湿疹などの症状がみられます。

 

肌を乾燥から守り正常に保つには?

肌が乾燥する原因は、皮脂や天然保湿因子、細胞間脂質などの保湿機能が低下することによって引き起こされると説明しました。それでは、どうしたら水分量が保たれている健康的な肌をキープできるのでしょうか。

肌にはターンオーバーと呼ばれる表皮の新陳代謝があります。これは表皮の細胞が入れ替わるサイクルことで、健康的な肌だと4~6週間程度で新しい細胞に入れ替わります。表皮の基底層で新しい表皮細胞が生まれ、それが徐々に上に押し上げられて表面で角質化します。このターンオーバーが乱れてサイクルの期間が極端に長いと、角質が肥厚して肌がくすみます。逆にサイクルの期間が短いと、天然保湿因子や細胞間脂質が少なくなってしまうため肌のバリア機能が低下して肌荒れや乾燥、痒みなどのトラブルが起こりやすくなります。

肌の乾燥やトラブルから守るには、ターンオーバーのサイクルを正常に保つことが大切です。肌のターンオーバーの乱れは紫外線や摩擦などの外部刺激のほかにも、食事や睡眠も影響します。

乾燥から肌を守るおすすめスキンケア方法

乾燥肌の人は肌が乾燥しないように、水分と保湿を十分に心がける必要があります。また、スキンケアで一番大切なことは肌を清潔に保つことです。洗顔は人肌に近い少しぬるめのお湯で石けんを良く泡立ててやさしく洗います。洗顔後、すすぎ残しがないように気を付けましょう。

*石けんは添加物の少ないシンプルで自然なものを選びます

洗顔後は水分が蒸発して乾燥しないうちに化粧水でたっぷり保湿します

*自分の肌のタイプに合わせて化粧水を選びましょう。

化粧水で水分を補給した後は水分の蒸発を防ぐために油分の補給をします。人には天然の皮脂膜があり自然に表皮まで上がってくるため、過剰な油分の補給はかえって逆効果になるので注意しましょう。

*石油系のオイルは(鉱物油)代謝を妨げトラブルの元にもなるので避けるようにすることが重要です。

*油分は天然のオイルがおすすめです。皮膚への浸透性に優れているホホバ油、人の皮脂組成に近いマカダミアナッツ油などがあります。

 

痒みがひどいときは外用薬

乾燥がひどく、痒みや湿疹を伴うときは外用薬を使いましょう。外用薬の種類は薬の強さや使う部位、目的によって分けられます。

 

外用薬の種類(医薬品)

・ステロイド薬:痒みの強い湿疹、アトピー性皮膚炎など

・非ステロイド薬:軽症の痒み、ステロイドが使えない部位

・保湿薬:皮膚の乾燥を防ぐため、副作用は殆どない

そのほかにも、痒みが強いと飲み薬(抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤)や漢方薬、市販のローションやクリームなどがあります。皮膚トラブルはスキンケアで予防が第一ですが、症状がひどい場合は医療機関を受診しましょう。

 

まとめ

乾燥による肌トラブルの原因と対処方法をご紹介しました。乾燥肌は痒みや湿疹などの症状を引き起こすため、日頃から肌を清潔にして乾燥から肌を守ることが大切です。人によってスキンケア用品(石けん、化粧水、天然オイルなど)は合う合わないがあります。自然なものでやさしい天然成分とはいえ、必ずパッチテストをしてから使用しましょう。

 

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